**************************************************************
リーダーMANUAL(山行管理マニュアル)
2004/07/25適用
2005/06/26一部変更
山行管理局長
**************************************************************
1.チーフリーダー(CL)、サブリーダー(SL)の定義
CL−−−その山行に参加するすべてのメンバーの安全を最優先に
判断、行動する責任者である。
この場合のCLとは先頭を歩くコースリーダーとは違う。
主な役割は後述する。
SL−−−CL不在時または機能しなくなった場合の代行者である。
またCLの役割をサポートする協働者である。
2.計画段階における役割
(1)山行募集と参加メンバーの判断
−山行募集の際にどのような知識・技術・経験が必要なのか、
参加資格条件を明記して募集する。
(募集する担当者がCLと別のケースもあるが)
そして、参加希望メンバーの知識・技術・経験レベルがその山行に
相応しいか否かの判断をする。
不明な場合は、山行管理局や同行経験者に聞くか、本人に山歴を
申告させて判断する。
(2)山行計画書の作成
−CLは山行計画書を漏れのないように作成する。
作成する上での観点は「参加者はもちろん、例えば捜索に
あたる警察や救助隊などの第三者が見てわかる」ように。
(3)山行計画書の記載内容について
−その山行の最優先目的
−山域・コースおよび予定時刻
−参加者氏名・住所・連絡先電話番号・緊急時における家族等
の電話番号・生年月日・血液型・山岳保険の有無と名称・担当連絡先
−メンバーの役割(何をするのか事前に周知確認)
・記録−−−時間、コース上ポイントとなる箇所などをメモし
後日記録としてまとめる。
携帯調査係がいない場合はそれも兼ねる。
余裕があればカメラも担当。
・感想−−−その時その場で感じた印象を後日まとめる。
記録とクロスオーバーしても構わない。
・携帯−−−会員による山岳携帯電話通話調査は会のステータス。
調査機種、調査ポイント、天候、アンテナ数、通話
状況(留守録や天気予報にかけてみるなど)。
後に行く人や遭難救助に役立つ。
・食料−−−共同食事の係。軽量化するのか栄養重視か、その山
行ごとに異なる。
・気象−−−山行前・・山行前1週間程度の天気、降水、雷情報
などの情報収集および山行日直前のチェック
CL、SLとの判断打合せ
山行中・・ラジオ(NHKや短波)による天気図取り
と今後の予測を担当。
−装備計画(準備する人と山行中持つ人)
−食料計画
−非常食計画(不測のビバークを想定。1日の基礎代謝量は1500kcal)
−下山連絡先(山行管理局長自宅に留守電)
−最終下山連絡時刻(=救助始動時刻)
−山行計画書の公的機関(主に管轄警察署、登山ポスト)に対する提出方法
−中止、順延、エスケープルートの使用、引き返しは、どのような
タイミング(状況、時刻など)で判断・行動するか
(参加メンバーと事前に意識の統一を図ること)
(4)気象判断と現地情報判断
−気象判断
・気象担当者の収集した気象情報および出発前日の気象予測情報を
もとにSLと相談して、実施か否かの判断を行い、メンバー全員
に確実に連絡する。
−現地情報による判断
・気象災害や工事等による入山まで、およびコース中、山行に支障
の来す情報を収集し、それをもとにした計画の変更、実施か否か
の判断を行い、メンバー全員に確実に連絡する。
(5)参加者全体のミーティング
−その山行の目的や内容、危険時の対応方法など、メンバー全体が同じ
意識を持つことは極めて重要である。
CLがその責任を背負い込まないという意味でも実施することが
望ましい。
ミーティングが最適だが、場合によってはメール等で上記の確認・
了解を取ることもある。
(6)山行管理局への提出
−所定提出期限までに参加メンバー間で練り込んだ山行計画書を
山行管理局全員に一括で送付する。
−計画書提出後、山行管理局はその山行に無理や危険因子が含まれていると
判断したとき、計画書提出者に対して、アドバイスや変更要請、
時には中止要請をすることがあるので、従うこと。
3.山行中における役割
(1)公的機関に対する山行計画書の提出義務
−公的機関(管轄警察署、入山口等にある計画書提出ポストなど)に
対する計画書の提出は義務である。
ただし、アクシデントがあっても自力で即搬出等の対応が可能な
ゲレンデはこの限りではない。
(2)出発時に参加メンバーの体調チェック
−睡眠不足、二日酔い、風邪、腹痛、疲労、生理など出発する事前に
参加メンバーの不調がないか必ずチェックする。
また参加メンバーは体調不良の中で「行きたいから黙っておこう」
「言いにくい」ではなくて、「このまま行ったらパーティ全体が
危険になる可能性がある」という意識を持ち、率直にCL(または
話しにくいなら他のメンバーからでも)に伝える。
(3)ストレッチ
−歩き出す前にメンバー全員にストレッチを行い遭難防止する。
(4)オーダー
−オーダー(歩く順番)を決める。
特に難しいコースでなければCLはラストを歩き、参加メンバー
全体を見渡せるようにする。
難しいルートではCLがトップを登ることもある。
またセカンドには一番弱い人を置き、パーティペースを整える。
経験者−初心者−経験者−初心者・・・の順が、前後から初心者を
フォローできて望ましい。
−トップを歩く人はパーティ全員がオーバーペースにならないスピード
をコントロールする。
主にセカンドに合わせるのがよい。
*一人先走る人にトップ、リーダーとしての資格はない!
−お互い常に見える範囲内で歩く。
−CLはバーティのスピードに無理がないか(逆にスピードを上げる
こともある)、メンバーの疲労はどうかを常に確認しながら
トップやメンバーに指示を出す。
−CLがパーティ全体を見渡せない程度の大人数になる場合は
パーティを分けて行動すべきである。
この時、通信手段を確保すべきである。
(トランシーバー、省電力トランシーバー、携帯電話)
−列を離れる時、具合が悪くなった時は必ず声をかけ伝える。
−道間違いの引き返しなどでオーダーが崩れた場合、直後に事故が
起きやすいので、先に行かせない。
(5)危険箇所の確認と対処
−危険箇所の事前周知を行い、通過する時は「何を注意すべき」か
メンバー全体に声を出して注意喚起する。
−危険箇所とは
・ガレ場、ザレ場−−−滑落、上部からの落石に対する注意
・浮き石のある岩稜帯、谷−−−上部を歩く登山者の起こす
落石、自然落石、下りでは転落・滑落
*上部にいる登山者の起こした落石による事故は
下を歩いて落石に巻き込まれた方の過失もある!
・沢の徒渉−−−スリップ、流出(特に滝の上部)、増水
・河原(ゴーロ帯)−−−崩れる浮き石が多い
・登山道が沢を横切る地点−−−道迷い
・濡れた岩場−−−滑落(特に下りで注意)
・突起物(石や木の根)−−−転落(特に下りで注意)
・広い尾根−−−道迷い(特に濃霧、悪天時)
・痩せ尾根−−−転落、滑落、木や岩の剥がれ
・鎖場−−−鎖はあくまで片手で補助として使用
・ハシゴ−−−乗る時(特に下り)
・雷天時の稜線
・尾根から沢へ方向を変える道−−−道迷い
など
−自己本位な危険箇所の通過判断
・自分の通過した感じでは「みんな大丈夫だろう」と思いこみ
がちであるが、それは何回も一緒に山行を共にした経験の中
で生まれるパートナー同士が感じ合うものであり、初めて
同行するメンバーやそれほど同行経験のないメンバーには
適用しないと見た方がよい。少し過度に判断すべき。
(例えば、三点確保が必要な岩尾根で補助ロープを使うとか、
沢登りにおけるロープ出しの判断など)
(5)引き返すタイミング
−こういう状況になったら「引き返す」「エスケープルートを使う」
「ビバークする」「中止にする」を計画書段階でCLは記載し
山行事前にメンバーに同意を得る。
−引き返すタイミングとは
・当初計画段階で設定した「○○に13:00まで」に着かない場合
・天候の悪化−−−事前天気予報、現地での観天望気などの
知識、技術が必要
・メンバーの体力消耗、体調不良
・今後出てくるであろう危険地帯通過のための装備不足、
メンバーの持っている知識、技術不足
・メンバー間の意見対立など信頼関係の崩壊
−悪状況下になった場合、CLはメンバーのモチベーション、疲労、
時間、天候、ルートなどを総合的に観察し、SLと相談しながら
最終的行動判断をメンバー間に伝え同意を得る。
(6)アクシデントを起こした場合の指揮
−メンバーが事故を起こした場合、またはパーティ全体が窮地に
立った場合、まずはメンバーを安全圏に移動させ、落ち着かせる。
−その後の対応の指揮をとる。
(CLが事故者の場合はSLまたは他の者が行う)
−道迷いの場合は、現在位置のわかるようなポイントまで引き返す。
沢登り熟達者でもない限り谷には絶対下りない。
夜間の行動はしない。体力温存を最優先にビバークし救助を待つ。
−捜索救助の連絡は「緊急時対応マニュアル」を参照。
救助が必要な場合は、警察、そして会(留守録ではなく直に連絡)
に連絡をする。
3.山行後の役割
(1)下山時のクーリングダウン
−意外と忘れがちだが、使用後の筋肉マッサージなどのクーリング
ダウンは重要である。
CLは短時間でも必ずメンバーに促し実施。
(入浴時の筋肉マッサージも有効)
(2)メンバーに対する役割分担の確認
−山行は下りてきて終わりではない。
ただの思い出にするだけなら山岳会はいらない。
必ず記録を書き出し、その時感じた印象を顧みて会に残す重要な
役割がある。
それらの役割を下山後必ず再度メンバーに確認しておく。
(3)記録を会員に報告
−会報やML、山行管理HPへ登録し、会員に周知する。
この記録が今後行く人たちに役立つし、自身振り返ることに
より、その山行がより肥やしになる。
記録係にやってもらってもよい。
以上