山行計画を行う時の留意事項
1.山行形態は?
ハイキング・・・・標高2000m以下、エアリアのコースタイム(休憩除く)5時間
以内の国内の日帰り既設登山道(岩場・沢・雪・海外を除く)。
ピークハント・・・上記ハイキング以外で、主要な一座登頂のみを目的とした場合。
(宿泊を要するか否かは不問。岩場・沢を除く)
縦走・・・・・・・上記ハイキング以外で、複数の主要な座をつなぐ場合。
(宿泊を要するか否かは不問。岩場・沢を除く)
岩・・・・・・・・ゲレンデクライミング、アルパインクライミング
沢・・・・・・・・沢登り
雪山・・・・・・・コース中主に積雪を通過する場合、または積雪部分は少ないものの
時期的に降雪が予想される場合(雪渓などが部分的に出てくる行程
は除く)
山スキー・・・・・既設ゲレンデから外れた箇所を滑走するアルペンスキー、テレマー
クスキー、スノーボード類を指す。
その他・・・・・・上記以外の形態で入山するもの(例えばMTB、ケービング、カヌ
―、渓流釣りなど)
※海外登山で遭対基金を適用させるには、日本勤労者山岳連盟海外委員会に計画書を
事前提出が必要。(委員会への提出は山行管理局が行う)
※室内クライミングで遭対基金を適用させるには、計画書は原則として不要だが、後日
事故確認書が必要となる。
2.山行目的は?
→ 個人別の目的(なぜそこに行きたいか)をメンバー間に摺り合わせることが重要。
(これを怠ったために、行動中にメンバー間で意見のぶつかりが生じることがある)
個別の目的をメンバー全員が理解することで、そのパーティとしての優先目的と非常時の対応が決められる
<例>「キタダケソウを見るため」
「槍ヶ岳に登りたい」
「鍋を楽しみたい」
「W級のリードに挑戦したい」
「幕営(テント泊)を行うため」
3.メンバーは?
→ 個人別の目的、パーティの目的を達成するための
個人別力量(体力・バランス力・メンタル面・経験など)はありますか?
※力量がたとえ90%程度でも他の力量のあるメンバーの協力があれば行ける
可能性があるということも加味して考慮
<注意点> お互いに技量や経験、性格がある程度わかっている会員に比べ、他会や
知り合い・友人(友人の友人などは最悪のケース)などがメンバーに
加わっている場合、必ずその人の計画書に記載する個人データは勿論の
こと、その人の経験・技量もメンバーおよび山行管理局に周知していない
と非常に危険です。
相手の個人データ、技量や経験が知られていないと、有事の際の連絡、
事前事故防止が不可能となります。
4.宿泊形態は?
幕営(テント)?小屋? → 行程と比べたメンバーの力量、目的により検討します。
5.日程・行程は?
@限られた日程の範囲内で、下記Aのトラブルを前提に、行動の可否、エスケープ
ルートの設定、停滞などを検討する
A起こりやすいトラブルを前提とした行動計画か検討する
■メンバーの力量(体力・バランス力・メンタル面・性格など)
■登山者集中(混雑)による行動遅れに備えたタイム設定
■気象 ・季節・地域ごとの気象特性を検討
<例>夏山→雷、台風(直接的影響と間接的影響)、
地盤の緩み、増水など
・天気予報および天気予想を検討
→いつの予報でどのような状況ならば、「中止」か「途中
まで」か「コース変更」か「延期」か
■危険箇所・道迷い箇所の情報共有化
→・エアリア、インターネットによる山行記録などから情報収集
・1/25000図から地形的に見て危険箇所、迷いそうな箇所を
事前予測
B行動中の目安になる箇所、コースタイムの検討
・目安になる箇所 = 現在位置が確認できそうな箇所 = 休憩ポイント
→ 「1時間歩いたら10分休憩」ということもペース配分的には大切だが、
1/25000地形図などから「現在位置が確認できそうな場所」を予め
決めておき、そこを休憩地に当てれば、現在位置確認と休憩が同時にでき
効率的ではないだろうか?
・さらに上記の箇所間のコースタイムを1/25000図から推測(※測定方法
は読図講習で公開済み)して、コースタイムを作成してみる。
*最後にエアリアにコースタイムが記載されていれば、それと比べてみよう。
エアリアのタイムが上記と比べて異常にかかる場合は、その間に時間を
費やす「何か」(つまり障害等)があるかもしれない、と予測する。
Cエスケープルート、引き返しの検討
→ ・予定コース中、何かのアクシデントがあった場合、安全に早く下山できる
エスケープルートがあるか?
(そのようなエスケープルートはどんな状況で使うのか検討)
・何かのアクシデントがあった場合、引き返すタイミングはどんな状況か?
(引き返し時間は、安全圏に安全な時間までに帰れるように逆算して決める)
D以上のことを考慮して集合時間と場所、交通手段を決める
→ ・万が一集合に遅れた場合の対応も事前に決めておく
6.役割は?
CL・・・・・チーフリーダー。またはコースリーダーの略とも。
計画段階で、行動の判断はCLに一任することを事前に了解しておく。
CLは、そのような判断を迫られた時、まずはSLとの相談。次にメン
バーにCLとSLの合意判断結果を伝える。
(得てして人間関係のバランスを崩すこともこんな時に生じやすい。
CL個人の信頼性、総合的判断力、正当性、説得性が試される)
メンバーの体調やマインド面を観察したり、実タイムと計画の差異を
常に把握し対応したりとなかなか大変。
リーダー経験は自分の許容レベルからどんどんした方がよい。
SL・・・・・サブリーダーの略。
CLのサポートおよびCL不在時の代行者。
NO.2の役割は意外と不明確なので、それらしい働きをしなくなる
ことが多い。
CLは何かにつけSLと相談する機会を持とう。
CLの仕事を分担することがよい。
記録・・・・・「ああ楽しかった」とその時だけ楽しんで終わってしまっては山岳会の
意味はない。またその人にとっても思い出だけ残り財産としては残ら
ない。
記録をとって残しておけば、次に行く人の参考にもなるし、将来再び
行く時の参考にもなる。
それが山岳会の財産とも言える。
行程、時間、メンバー、天候、コース中のポイント、記録者自身の
心象などを綴って、MLや会報などで残す役。
感想・・・・・記録以外の人にも印象を書いてもらえれば、同じコースで十人十色の
捉え方が出てくる。
食料・・・・・食料担当者を略して「食担」などとも言う。
山行の目的に応じて、重くても豪華にするのか、軽量化を重視するのか
メンバーでしっかり検討する。
具材を用意する担当者だが、別に一人でなく分担してもよい。
気象・・・・・最近は情報網の発達で短い期間の山行ならば事前に気象情報が入手でき
るが、長期山行で行程中に気象情報が入手しにくい場合は、短波放送
から天気図を作成しなければならない。特に冬のアルプスでは重要。
計画書提出・・山行管理局への提出は当たり前にCLまたは企画者が行うが、それとは
別に遭難対策のために公的機関(管轄警察署地域課)に登山計画書を
出すのが本来の姿である。
ハイシーズンには入山口で受け付けをしたり、メジャーな入山口には
登山届ポストが設置されているので、この担当になった人は提出用に
もう一部コピーして持っていこう。
登山ポストの有無は県警HPで把握できる所もあるが、特にリスキー
な山行と思われる場合は郵送等で事前に送ることだ。
(義務づけられている地域や時期もあるので注意)
起床・・・・・寝坊助の多いカモでは目覚めのよい人をこんな担当にするのもよい。
7.装備は?
→ ・目的・メンバー・山行形態・季節によって相当異なってくる。
・意図的な場合を除き、共同装備はメンバーの力量などにより割り振る。
・必要最低限かつ軽量化を心がける。
(「あれば便利」なものは持っていっても意外と使わないもの)
・力量が比較的ないメンバーが参加するとき、力量のあると思われるメンバーは
いざという時のためにザックに余裕を持とう。
・計画の段階で、特に初心者には「装備の内容と使い道」を理解してもらう。
・集合時にCLまたはSLは作成された計画書をもとに装備のチェックを行う。
いざ山に入ってから「テント忘れました〜」では洒落にならない。
8.下山連絡は?
→ ・山行管理局のうち誰かに依頼することになるので
計画書送付のときにとりあえず指名&依頼しておく。
当該者の都合が悪ければ連絡が帰ってくる。
予め不在がわかっている山行管理者への依頼は避けた方がよいであろう。
・下山連絡時間の設定は余裕を持って、なおかつあまり遅くならないように設定。
安全圏に下山したらなるべく早く連絡を入れること。
・下山連絡の内容(留守録も含めて)は、実際に参加したメンバー、コースは予定
通りか変更があったか、などを報告しておく。
以上